1. ホーム
  2. 非公開: 芦屋サマーカーニバル
  3. 芦屋サマーカーニバルの歴史

志の系譜 – 繋ぐ、希望のまつり

25年前、芦屋サマーカーニバルは中学校のグラウンドで行われる地域の小さな夏祭りでした。

しかし1995年、震災の年。復興に追われる芦屋のまちに、いつもの花火を上げることは叶いませんでした。

憂いた市民たちが「花火の上がる活気あふれた芦屋でありたい」と、立ち上がり始めます。

当時の母体団体から名前を受け継ぎ、仲間を増やし、開催を目指して地道な活動が続きました。小学校コミュニティスクールや、市内企業など、声を掛け合って輪を広げていきます。

震災の翌年、第18回芦屋サマーカーニバルは、“上げよう花火 みんなの希望”を掲げ、市民有志の募金によって花火の打上を実現します。新しい芦屋サマーカーニバルの始まりでした。

地域の発展に連動し、芦屋サマーカーニバルもその住処を模索することが求められました。

打ち上げ花火の開催には、広い敷地や海といった、花火との安全な距離を保てる会場が必要です。新しいまち・南芦屋浜の開発が進み住宅街が南下することは、すなわち、安全に花火を上げられる場所も共に南へ移動していくことを意味していました。

芦屋公園南(潮見町)からシーサイドタウン東南(浜風町)、南芦屋浜地区東南(陽光町)を経て、出来立ての芦屋市総合公園に辿り着くに至ります。2004年、全面開業となった公園を会場に、第26回芦屋サマーカーニバルが開催されました。ようやく、現在のまつりの原型が確立されたのです。

市民が手を取り合ってまつりを創り上げていくことは、市民・企業・行政の交わりを構築していくことでもありました。

立場の垣根を越え、共に芦屋サマーカーニバルの開催を目指す。その中で培われた信頼関係は、他の市民活動から企業間の取引付き合いまで、まつりの外の場にも活かされていきます。

震災後、「花火の上がる活気あふれた芦屋」を願い開催を繋いだことは、形からのスタートであったのかもしれません。しかし、継続のうちにいつしか質は逆転し、実益を伴って「芦屋に活気をあふれさせる花火」へと変容していました。

2007年、芦屋市民まつり協議会はNPO法人となります。以降、芦屋サマーカーニバルを始めとする地域活性・まちづくり活動の安定継続を目指していきます。

花火もその目覚ましい技術革新と共に、大きく変化を迎えることとなりました。

コンピュータの発展・普及に伴い、花火を電子管制する技術が誕生したのが1994年のことです。新しい風を、チャレンジを。花火激戦区での生き残りを懸けて、芦屋サマーカーニバルは、関西の夏祭りでは初めて 音楽花火ショーの導入を行いました。

2009年、初お目見えのASHIYA DANCING FIREWORKS SHOWは大いに来場者の評価を得て、芦屋サマーカーニバルの目玉イベントとして確立します。

1/30秒で設計する速射花火、新作の演出、ステージ生演奏とのコラボ、そしてファイアータワー。小さなまちの花火は、多くの来場者を呼び込み、まちに活気を生み出す、出会いと交流のシンボル「花火ショー」になりました。

芦屋サマーカーニバルは、今や9万人を動員する夏の一大イベントにまで発展しました。

市内の古くからのご来場者の中には、この変化を見て戸惑う方もいらっしゃることでしょう。変わらなかったのは、名前だけかもしれません。

しかし実に25年、四半世紀という長きにわたり市民の力で繋いできた歴史こそ「芦屋サマーカーニバル」の本質であり、それは市域にとって市民にとって、単純に夏祭りや花火大会と呼び収めるには収まらない、暑苦しく泥臭く積み重ねてきた協働の結実であることに違いありません。

どうぞこれを、市民によるまちづくり実践活動、市民相互につながりを創り出す好機として捉えて、その意義に御理解を頂けると幸いです。

令和元年。

何もかもが新しく始まる年に、芦屋サマーカーニバルも「第41回」という、ささやかで、しかし重要なスタートを切りました。

毎年を必死にがむしゃらに乗り越えてきたサマーカーニバルが、子や孫の世代にまで受け継がれていくためにはどうすればいいのか。40の節目を越えた“第1回目”として、これからのサマーカーニバルを模索して参りましょう。

そのためにも、若い力の参加と、新しい視点を求めています。

これからも変わらず変わり続けるまつり、芦屋サマーカーニバルに、皆様のご意見・お力・ご賛同・ご支援をお寄せ頂けますと幸いです。

みんなでつくる、市民でつくる、芦屋サマーカーニバルの挑戦。どうぞ今後ともよろしくお願い致します。

※本稿は2019年9月に開催された写真展「ホテル竹園芦屋協賛 芦屋サマーフォト2019」における展示プログラム「志の系譜 – 繋ぐ、希望のまつり」をもとに作成されています。